聖女の力のない令嬢の織った布に、冷徹公爵は恋をした。




 リディアの心臓が、大きく跳ねた。


「途絶えた理由は」

「記録がない。おそらく、その娘が死んだとき、技法も一緒に消えた」


 リディアは布の切れ端を見つめた。薄くて、少し色あせていて、だけど確かに特別な何かが宿っている布。百年前に、自分と同じように力を持たずに生まれた誰かが、それでも諦めずに作り上げたもの。

 喉の奥が、じわりと熱くなった。


「私に、この技法を復元してほしいということですか」

「頼む、とは言わない」


 アルシェはリディアを見た。


「ただ、あなたなら興味を持つかもしれないと思った。それだけだ」



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