聖女の力のない令嬢の織った布に、冷徹公爵は恋をした。




 一方で、味方も現れた。
 エレナ・ユヴァン令嬢が、茶会の席でクローデットに向かって静かに言ったのだ。


「クローデット様。失われた織り技法を復元されたリディア様の布を、私は先日拝見しました。あれは本当に美しかった。力があるかどうかより、何を作れるかの方が、私には大事に思えますけれど……皆様はどうかしら?」


 それだけ言って、エレナは紅茶に口をつけた。

 クローデットはその言葉に黙った。

 その話もリディアに伝わった。リディアはエレナに手紙を書いた。

 ありがとうという言葉を伝えたくて、できる限り丁寧に綴った。だけどエレナからの返事は一言と、短かった。
 だけど彼女らしい愛のこもった言葉だ。


【当然のことを言っただけです。それより早く幸せになってください。】


 リディアは思わず頬が緩んだ。とても嬉しかった。
 誰かが味方になってくれることはこんなにも力強いのかとリディアは実感した。



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