アタタメマスカ?
その日は、朝方さんがアパートまで送ってくれた。

「凄い所でしょ? 築30年なの」

ボロボロで、今にも壁が剥がれ落ちそうなほど。

「僕の家はもっと古いから」

建物を見上げて、朝方さんが笑った。

「今日は御免ね、折角、誘ってくれたのに」

全然、楽しくなかったよね。

謝る私の頭を、大きな手がそっと触れ、顔を上げると、朝方さんが優しい目で見つめていた。



「死んだから絶対に会えないのと、生きているのに会えないのは、どっちが辛いだろう?」


そう呟いた彼の目には、海のような煌めきと、深さがあった。


「今度は、夜に会おうね」

「……え」


突き放さず、また誘ってくれた朝方さんを、古い外灯が照らした。

神々しい位、光っている。

まるで、月に帰るかぐや姫みたいに綺麗だと思った。



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