可愛い後輩の天使くんはあざと狼でした
「水野先輩、新山先輩、おはようございます!」

明るい声で挨拶してきたのは、天使 唯人(あまつか ゆいと)くん、25歳。

みんなから“天使(てんし)くん”とか“エンジェルくん”と呼ばれている。名前のとおり、ふわふわの茶色い髪に色白の肌。
整った顔立ちに長いまつ毛。本当に、天使みたいに可愛い。
身長も私とほぼ同じぐらいだ。だからか余計親近感がわく。

「おはよー、あまつかくん」

「おう、おはよう!てんし!
じゃあ今日も頑張ろう!」

水野先輩は上機嫌で席に戻っていく。
私は自分の席に座ると、あまつかくんがこちらを見て微笑んだ。

「随分と盛り上がってましたね」

「うん。朝食抜きだったみたいだから、プロテインバーあげたんだ」

「へぇー、優しいですね。新山先輩」

ふわりと笑う。
……でも、なんだろう。ほんの少しだけ違和感。

「あ、もしかして……欲しかった?」

「え?俺はご飯食べてきましたよ」

「そっか。じゃあ、あまつかくんにはこれ」

私はガチャガチャでダブった“多面性ねこシリーズ”の“足が痺れて動けない猫”をひとつ渡す。

「可愛いですね!ありがとうございます」

ふわふわと笑うあまつかくん。……可愛い。
でも、彼にも“二面性”があるのだろうか?
真面目で、物覚えがよくて、物腰も柔らかい。誰からも可愛がられている。
じーっと見ていると、あまつかくんが小首をかしげて笑った。

「そんなに見られると緊張しますよ〜
先輩、美人だから照れます」

……さすがである。こういう“自然に人を褒める力”、天性のものだ。

「うまく生きてるね」

そう言うと、あまつかくんは少し困ったように笑った。

「あ、えっと……ありがとうございます?」

ふわりと柔らかい笑顔。

「それにしても、まだそのシークレット猫ちゃん出ないんですね」

机に置かれた“多面性ねこシリーズ”を指でさす。通常の猫に加えて、スーツ姿で仕事してる猫、お酒を飲んでだらけてる猫、美味しいものを頬張る猫。

「そうなの。気になってるんだけどね〜
なかなか出なくてさ」

「出るといいですね。
俺もそのガチャ見つけたら回してみます」

柔らかく笑うあまつかくん…ほんとに癒しだ。そのあと私は真面目に仕事をこなした。
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