可愛い後輩の天使くんはあざと狼でした
「それより大丈夫?」
そう言った瞬間、あまつかくんがぐっと距離を詰めてきて、ソファに座っていた私のすぐ目の前に立った。
「新山先輩……男を簡単に部屋に入れちゃダメですよ。ほんとに」
「いや、普段はそんなことしないよ?
というか、弟以外で初めて入れたの、あまつかくんだし」
そう言うと、あまつかくんの表情が一瞬だけ歪んだ。
「それって……俺が“男らしくない”から?
可愛い顔した後輩だから?」
「え、いや、そういうわけでは—」
言い終わる前に、あまつかくんがそっと私の肩に手を添えソファの背もたれに押しつける。それから首元にそっと柔らかい感触が落ちた。
「え!?な、なに!?」
まさか、キ、キスされた?目の前のあまつかくんを見上げる。いつもの柔らかい笑顔じゃない、見たことない大人の顔。濡れた髪が妙に色っぽい。
「先輩ってさ。
もっと慣れてるのかと思ってたけど……違うんですね」
「え!?なにその言い方!酔ってるの!?」
「酔ってないです。全然」
「え?でもさっき項垂れてたじゃん」
「…あれ、演技です」
「なんで!?」
「“可愛い後輩”の立ち位置、利用できるうちは利用するんで。
好きな人に近づくためなら、なんでもしますよ」
低い声でそう言って、私の視線をまっすぐ捕まえる。逃げられない距離に胸の奥が、ぎゅっと鳴った。