私の好きな、彼のにおい~雨に降られたら彼の秘密を知りました~
崩れた髪から雫を滴らせつつ、浅倉くんが気まずそうに頬を掻きながら私を見下ろす。

「……とりあえずうち、こい?」

「そうだね」

慰めるように肩を叩かれ、同意するしかなかった。

エレベーターで上がって五階、角部屋が浅倉くんの部屋だった。

「お邪魔します……」

なんとなくそろりと部屋に上がる。

「風呂はこ……」

玄関脇のドアを開けたところで、彼が止まった。

「……ちょっと待ってて」

断って中に入ったあと、がたごとと音がする。

「いいよー」

「あ、うん」

浅倉くんが顔を出し、戸惑いつつも足を踏み入れた。
ワイシャツで包まれた物体がいくつか転がっているが、もしかしたら洗濯機から洗濯物を出していたのかもしれない。

「洗濯機は勝手に使ってくれ。
洗剤使うなら上の棚。
使い方は……」

一通り説明し、彼は出ていった。
ひとりになり、洗濯機に服を入れて少し悩み、乾燥で回す。

「あ、そっか」

シャワーで温まりながらふと気づく。
わざわざ自分でやれって言ったのはきっと、下着があるからだ。

「そういうとこほんと、紳士だよね」

おかしくもないのについ、くすくすと笑っていた。
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