君の隣。~一番愛した人の裏切り、泥沼のモラハラ彼氏。傷だらけの私を最後に救ったのは、10年間私を忘れられずにいた「親友の元彼」でした~
キスの余韻
唇に触れただけの、ほんの一瞬。でも、私にとっては息が止まるくらい、長く、ドキドキする時間だった。
閉じていた目をゆっくりとあけると、すぐ目の前で勇斗と目が合った。
「……っ」
だけど、あまりの恥ずかしさに耐えきれなくて、お互いに一瞬で目を逸らしてしまう。
心臓の音がうるさすぎて、自分の耳まで熱くなっているのがわかった。視界の端で、勇斗も気まずそうに口元を片手で覆っているのが見える。
助けを求めるように美波のほうを見ると、美波はこれ以上ないくらいニヤニヤと笑いながら、面白がってこちらを見ていた。
「もー! 笑わないでよー!!」
「王様ゲーム終わり!! もう夕方過ぎてるし、そろそろ解散しよ!!」
これ以上この場にいたら、心臓が爆発してしまう。
恥ずかしさを必死に隠すために、私はわざと大きな声を出しながら立ち上がった。
その時、ふと新太のほうを見た。
新太は、全く笑っていなかった。
それどころか、いつもはおちゃらけているはずの目がすっと冷めていて、なんだか少し怒っているようにも見えた。
(え……新太?)
その予想外の表情に一瞬ドキリとしたけれど、深く考える余裕なんて、今の私にはなかった。
逃げるように部屋を片付けて外に出ると、空はすっかりオレンジ色に染まっていた。
帰り道、女の子たちをそれぞれ送っていく流れになり、行きと同じように勇斗と一緒に駅の方向へ向かおうとした私を、新太の声が引き止めた。
「俺、柚那送ってくから。勇斗は美波を送ってやって」
新太が少し低い声でそう言った。
「え?」と驚いたのは私だけでなく、勇斗も少し意外そうな顔をした。
でも、新太の有無を言わせない空気に押されて、結局その通りになった。
勇斗と美波のペアと駅のホームで別れたあと、私は新太と2人で電車に乗り込んだ。
(さっきの新太、やっぱり怒ってたのかな……)
並んで吊り革に掴まりながら、なんとなくさっきの冷たい表情が気になって、私は吊り革を握る手にぎゅっと力を込める。
だけど、電車が走り出すと、新太は「今日のイルカショーウケたよな」と、いつも通りのトーンで何気ない世間話をしてくれた。
ガタゴトと揺れる車内で楽しく話しているうちに、私の緊張も少しずつ解けていき、あっという間に私の家の最寄り駅に着いた。
駅から自宅までの夕暮れの道を2人で歩き、私の家の前に着いた。
「送ってくれてありがとう」と言おうとした、その時だった。
「帰りは、柚那と2人きりになりたかったんだ」
オレンジ色の夕日に照らされながら、新太が、いきなりぽつりとそう言った。
「え……?」
「それは、どういう意……」
驚いて意味を聞こうとした私の言葉に重ねるように、新太がすぐに話を続けた。
「そのままの意味。……いまの、冗談じゃないからな」
「今日は楽しかったよ。また明日、学校でな!」
私と目を合わせることもなく、それだけを一気に言うと、新太はくるりと背を向けて、照れ隠しのように駅のほうへと足早に歩き去ってしまった。
私はあっけにとられて、遠ざかっていく新太の背中に何も言うことができなかった。
そのあと、自分の部屋に入ってからも、新太の言った言葉の意味がぐるぐると頭を離れない。
(2人きりになりたかったって、どういうこと……?)
唇にはまだ勇斗とのキスの感触が微かに残っているのに、頭の中は新太の残した言葉でいっぱいになっていた。
心の中がざわざわと落ち着かないまま、私はその日、新太の言葉の意味を考えながら眠りについた。
閉じていた目をゆっくりとあけると、すぐ目の前で勇斗と目が合った。
「……っ」
だけど、あまりの恥ずかしさに耐えきれなくて、お互いに一瞬で目を逸らしてしまう。
心臓の音がうるさすぎて、自分の耳まで熱くなっているのがわかった。視界の端で、勇斗も気まずそうに口元を片手で覆っているのが見える。
助けを求めるように美波のほうを見ると、美波はこれ以上ないくらいニヤニヤと笑いながら、面白がってこちらを見ていた。
「もー! 笑わないでよー!!」
「王様ゲーム終わり!! もう夕方過ぎてるし、そろそろ解散しよ!!」
これ以上この場にいたら、心臓が爆発してしまう。
恥ずかしさを必死に隠すために、私はわざと大きな声を出しながら立ち上がった。
その時、ふと新太のほうを見た。
新太は、全く笑っていなかった。
それどころか、いつもはおちゃらけているはずの目がすっと冷めていて、なんだか少し怒っているようにも見えた。
(え……新太?)
その予想外の表情に一瞬ドキリとしたけれど、深く考える余裕なんて、今の私にはなかった。
逃げるように部屋を片付けて外に出ると、空はすっかりオレンジ色に染まっていた。
帰り道、女の子たちをそれぞれ送っていく流れになり、行きと同じように勇斗と一緒に駅の方向へ向かおうとした私を、新太の声が引き止めた。
「俺、柚那送ってくから。勇斗は美波を送ってやって」
新太が少し低い声でそう言った。
「え?」と驚いたのは私だけでなく、勇斗も少し意外そうな顔をした。
でも、新太の有無を言わせない空気に押されて、結局その通りになった。
勇斗と美波のペアと駅のホームで別れたあと、私は新太と2人で電車に乗り込んだ。
(さっきの新太、やっぱり怒ってたのかな……)
並んで吊り革に掴まりながら、なんとなくさっきの冷たい表情が気になって、私は吊り革を握る手にぎゅっと力を込める。
だけど、電車が走り出すと、新太は「今日のイルカショーウケたよな」と、いつも通りのトーンで何気ない世間話をしてくれた。
ガタゴトと揺れる車内で楽しく話しているうちに、私の緊張も少しずつ解けていき、あっという間に私の家の最寄り駅に着いた。
駅から自宅までの夕暮れの道を2人で歩き、私の家の前に着いた。
「送ってくれてありがとう」と言おうとした、その時だった。
「帰りは、柚那と2人きりになりたかったんだ」
オレンジ色の夕日に照らされながら、新太が、いきなりぽつりとそう言った。
「え……?」
「それは、どういう意……」
驚いて意味を聞こうとした私の言葉に重ねるように、新太がすぐに話を続けた。
「そのままの意味。……いまの、冗談じゃないからな」
「今日は楽しかったよ。また明日、学校でな!」
私と目を合わせることもなく、それだけを一気に言うと、新太はくるりと背を向けて、照れ隠しのように駅のほうへと足早に歩き去ってしまった。
私はあっけにとられて、遠ざかっていく新太の背中に何も言うことができなかった。
そのあと、自分の部屋に入ってからも、新太の言った言葉の意味がぐるぐると頭を離れない。
(2人きりになりたかったって、どういうこと……?)
唇にはまだ勇斗とのキスの感触が微かに残っているのに、頭の中は新太の残した言葉でいっぱいになっていた。
心の中がざわざわと落ち着かないまま、私はその日、新太の言葉の意味を考えながら眠りについた。