君の隣。~一番愛した人の裏切り、泥沼のモラハラ彼氏。傷だらけの私を最後に救ったのは、10年間私を忘れられずにいた「親友の元彼」でした~
抗えない引力
次の日。
授業と授業の間の休み時間。
いつものように廊下の窓際に行くと、新太と勇斗、それに美波が先に来ていて、何やら笑い合っていた。
「あ、おはよう柚那!」
美波の声に振り返った新太とバチッと目が合う。
昨日の夕暮れ、真剣な顔がふと頭をよぎったけれど新太はすぐにいつも通りのニカッとした笑顔で片手を上げた。
「おー、おはよ」
その少し後ろで、勇斗が小さく手を振り返してくれたけれど、心なしかいつもよりすぐに目を逸らされたような気がした。
最初は昨日のことがあって少しだけぎこちなかったけれど、新太がいつも通りに美波とふざけ合っているのを見て、私はホッと息をついた。
(……なんだ、やっぱりいつもの新太じゃん)
昨日の帰り際、新太は「冗談じゃない」なんて言ったけれど、あの新太が、私なんかに本気で何かを抱くはずがない。
深い意味なんてない――そう自分に言い聞かせて、胸の奥でざわつく不思議な予感を無理やり閉じ込めた。
「柚那、ぼーっとしてどうしたの? 早くこっちおいでよ!」
美波に呼ばれて、私は自分を納得させるように深く息を吐くと、4人の会話の輪へと戻っていった。
ーーーーーーーーーー
学校から帰宅して、自分の部屋のベッドにダイブする。
なんとなくスマホを取り出して画面を見つめていると、不意に短くバイブが鳴って、1通のLINEが届いた。
ポップアップで表示された名前に、ドクン、と心臓が跳ねて息が止まる。
静かな部屋の中で、スマートフォンの白い光だけが、私の顔を冷たく照らしていた。
雅人からだった。
『久しぶり。元気してる?』
画面を見つめる手が、微かに震える。
あんなにあっけなく、一方的にLINEだけで別れを告げておいて、何をいまさら……。怒りとも悲しみともつかない感情が込み上げてきて、スマホを放り投げたくなる。そう思ったはずだった。
それなのに。
『久しぶりだね。元気してたよ』
頭で考えるより先に、私の指はそんな返信を打ち込んで、送信ボタンを押してしまっていた。
(何やってるの、私……)
後悔したのも束の間、すぐにまた雅人から通知が届く。まるで、私が返信してくるのをスマホを握りしめて待っていたかのような早さだった。
『それならよかった。俺は今も変わらず野球頑張ってるよ。柚那はどこかの部活に入部した?』
送られてきた文字を見つめながら、私は小さく、震える息を吐き出した。
雅人の野球姿。汗をかいて一生懸命な彼の姿が、昨日のことのように脳裏に浮かぶ。
返信なんて、しなければいいのに。
もう終わった相手なんだから、無視してしまえばいいのに。
頭ではハッキリと分かっているはずなのに、スマホを置くことができない。
私は何も考えないまま、抗えない引力に引き寄せられるように、次の返信を打ち込んでしまっていた。
授業と授業の間の休み時間。
いつものように廊下の窓際に行くと、新太と勇斗、それに美波が先に来ていて、何やら笑い合っていた。
「あ、おはよう柚那!」
美波の声に振り返った新太とバチッと目が合う。
昨日の夕暮れ、真剣な顔がふと頭をよぎったけれど新太はすぐにいつも通りのニカッとした笑顔で片手を上げた。
「おー、おはよ」
その少し後ろで、勇斗が小さく手を振り返してくれたけれど、心なしかいつもよりすぐに目を逸らされたような気がした。
最初は昨日のことがあって少しだけぎこちなかったけれど、新太がいつも通りに美波とふざけ合っているのを見て、私はホッと息をついた。
(……なんだ、やっぱりいつもの新太じゃん)
昨日の帰り際、新太は「冗談じゃない」なんて言ったけれど、あの新太が、私なんかに本気で何かを抱くはずがない。
深い意味なんてない――そう自分に言い聞かせて、胸の奥でざわつく不思議な予感を無理やり閉じ込めた。
「柚那、ぼーっとしてどうしたの? 早くこっちおいでよ!」
美波に呼ばれて、私は自分を納得させるように深く息を吐くと、4人の会話の輪へと戻っていった。
ーーーーーーーーーー
学校から帰宅して、自分の部屋のベッドにダイブする。
なんとなくスマホを取り出して画面を見つめていると、不意に短くバイブが鳴って、1通のLINEが届いた。
ポップアップで表示された名前に、ドクン、と心臓が跳ねて息が止まる。
静かな部屋の中で、スマートフォンの白い光だけが、私の顔を冷たく照らしていた。
雅人からだった。
『久しぶり。元気してる?』
画面を見つめる手が、微かに震える。
あんなにあっけなく、一方的にLINEだけで別れを告げておいて、何をいまさら……。怒りとも悲しみともつかない感情が込み上げてきて、スマホを放り投げたくなる。そう思ったはずだった。
それなのに。
『久しぶりだね。元気してたよ』
頭で考えるより先に、私の指はそんな返信を打ち込んで、送信ボタンを押してしまっていた。
(何やってるの、私……)
後悔したのも束の間、すぐにまた雅人から通知が届く。まるで、私が返信してくるのをスマホを握りしめて待っていたかのような早さだった。
『それならよかった。俺は今も変わらず野球頑張ってるよ。柚那はどこかの部活に入部した?』
送られてきた文字を見つめながら、私は小さく、震える息を吐き出した。
雅人の野球姿。汗をかいて一生懸命な彼の姿が、昨日のことのように脳裏に浮かぶ。
返信なんて、しなければいいのに。
もう終わった相手なんだから、無視してしまえばいいのに。
頭ではハッキリと分かっているはずなのに、スマホを置くことができない。
私は何も考えないまま、抗えない引力に引き寄せられるように、次の返信を打ち込んでしまっていた。