それは面倒で。 でも愛しくて。
話し合い
ランチタイムを過ぎた午後二時。オムライスを食べ終わった蜜葉にチーズケーキとコーヒーを運ぶ。蜜葉はありがとう、と言い困ったように微笑んだ。
麗菜さんと話をする、と決めた蜜葉の行動は早かった。翌朝すぐに連絡した。あたしは気怠い体をベッドに投げ出して横になったまま、寝ぼけ眼で緊張した様子の蜜葉を見ていた。コール数回で麗菜さんは電話に出た。
久しぶり、連絡くれてた、よね。……うん、元気。あのさ、鈴華に会ったって聞いたんだけど、そのことで話があるんだ。……え?今日?木ノ葉で?あ、待って、麗菜!
電話は一方的に切られ、どうやら木ノ葉で会うことになったらしい。あたしはスマホを困ったように眺める蜜葉を、枕を抱きながらとろんとした目で観察する。蜜葉がそっとあたしを伺い見る。
「……今日、会うことになった」
「そう」
「木ノ葉で。二時過ぎ」
「そう」
「なんか、ごめん」
「いいわよ。見張れてラッキ、て思ってるから」
「ふっ。なにそれ。僕が浮気すると思ってるの?」
蜜葉がベッドに近づいてきて妖しく笑う。あたしは毛布を肩まで引っ張り起き上がると、蜜葉はベッドに腰掛けた。
「わからないじゃない。嫌いで別れたんじゃないんでしょ?会ったら気持ちがぶり返すかも。盛り上がっちゃったらどうしよう」
「そんなことにはならないよ。鈴華が麗菜と会ってなかったら連絡なんかしなかった」
あたしは蜜葉の肩に腕を回して首筋に頬を寄せる。毛布がずり落ちて、背中が丸見えになる。
「ちゃんと区切りつけてね。そのために会うの許したんだからね」
「……うん。ちゃんと別れ話してくるよ」
「見てるからね」
あたしが蜜葉にキスをすると、蜜葉が潤んだ目を向けてきた。上気した頬が、あたしを食べたいと言っている。蜜葉の手が裸の背中をすっと撫でる。昨夜の余韻が蘇る。
「鈴華は、朝、結構艶めいてるよね」
「んん?そう?」
「うん。なんか、誘われるな」
はく、と唇を喰まれ、応えるように口を開く。呼吸を交換し、舐め合いお互いの背中を撫で合う。朝なのに、夜みたいな官能的な空気に胃のあたりがきゅんと収縮した。蜜葉の吐く息が熱い。
「仕事まで、まだ時間あるよね」
「ある、けど」
「いい?……だめ?」
上目遣いでお願いされたら、あたしはノーとは言えない。眼鏡の奥の蜜葉の目が、あたしだけを求めているのに優越を感じる。あたしは蜜葉の眼鏡を取ると、それをコタツの上にポイと投げる。蜜葉がゆっくりあたしの上にまたがり、上半身を倒してキスをする。
「鈴華は、いつも通りに仕事しててよ。心配することなんて何にもないよ」
あやすように、そう言った。