元カノの恋愛小説が映画になったので、忘れたはずの初恋が大ヒット上映中です
少し遅い朝食を食べていると、スマホにメッセージの着信があった。

思わず、すぐに画面を見る。

《メッセージ:遠山紗月》

――理緒じゃない。

ドタキャンのメッセージではないことにホッとした。

《おはようございます。先日のキャリア教育の写真ありますか? 学年だよりを作成しています》

事務的な、いつもどおりの遠山先生のメッセージ。

それを見て、少しだけ心が凪いだ気がした。

遠山先生からのメッセージは、素直に受け取れる。

理緒のメッセージは、何度も読み返してしまうのに。

遠山先生のメッセージは、一度読めばそれで済む。

その違いは、何なんだろう。

――いや。そんなことより。

持ち帰っている仕事用のノートパソコンを開き、フォルダを確認する。

生徒の写真と一緒に、理緒の写真が並んでいる。

中学生の頃の理緒とは違う、大人の女性の理緒。
髪を伸ばし、ロングスカートのワンピースを着て、マイクを持って堂々と話す姿。

写真を、必要以上に長く見てしまっている。

今日の理緒は、どんな格好で来るのだろうか……。

――いや、何考えてるんだ、俺は。

頭を振って、写真フォルダを閉じた。

こんなことを考えて、いったい俺は何をしたいのだろう。

適当に何枚か無難な写真を選び、仕事用のメールで遠山先生に送った。

さらに、メッセージで写真を送ったことを伝える。

《写真、メールで送りました》

すぐに既読が付き、返信が来る。

《ありがとうございます! お休みの日にすみませんでした☆》

《遠山先生こそ、休みの日に頑張り過ぎないでね》

《ありがとうございます。これ終わったら、ゆっくり休みます》

いくら遠山先生とやり取りを重ねても、心臓が跳ねることはない。

安心する。

それと同時に、少しだけ申し訳なさも感じる。

遠山先生のことを嫌いになったわけじゃない。
むしろ好きなはずなのに、今はその輪郭がはっきりしない。

理緒に会えるというだけで、朝から理緒のことばかり考えてしまう。

――俺は、どちらを向いているのだろう。
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