元カノの恋愛小説が映画になったので、忘れたはずの初恋が大ヒット上映中です
そうして時計を見る。
まだ九時五十分。
時間はなかなか進まない。
一日をどう過ごそうか悩み、久しぶりに積んでいた本を手に取って読み始めた。
お腹が空いたら昼食を食べ、また小説を読む。
正直、小説の内容は頭に入ってきていない気がする。
それでも、無理やり読み進めた。
何かに集中していないと、また理緒のことを考えてしまう。
そうして気付けば、夕方の十六時を回っていた。
「そろそろ、支度するか」
着替えて身だしなみを整えていると、鏡の前でふと手が止まった。
――何で、こんなに気合い入れてるんだ。
理緒と未来を会わせるだけ。俺はただの仲介役だ。
ただの食事会だろう。
そう自分に言い聞かせながらも、結局、一番気に入っているシャツに袖を通した。
準備が終わった時間は、出るには少し早かったが、家にいたくなかった。
家にいると、考えなくていいことまで考えてしまう。