元カノの恋愛小説が映画になったので、忘れたはずの初恋が大ヒット上映中です

ご縁と知らない一面

「あの、少し早いかもしれないですけど、ゆっくり歩きながら向かいませんか?」

俺の動揺を庇うように、理緒が話題を逸らして出発を促した。

「あぁ……そうだね」
「うん、行こうか」

二人をホテルへ案内するため先頭を歩き始めると、なぜか佐藤さんは俺の隣へ並び、理緒が一人で後ろを歩く形になった。

「ねぇ、小説の内容はどこまで本当なの?」

佐藤さんは、なぜかしつこく俺に聞いてくる。

「誠さん、小説はフィクションです。実話じゃないって前に言ったじゃないですか」

理緒の怒った声を初めて聞いた。

「でも、藤森さんの妹が理緒の同級生でしょ?」

理緒は逃げ道を探すように視線を泳がせる。
それでも諦めたように、小さな声で答えた。

「……そうです」

「小説の主人公の彼氏は、同級生のお兄さんでしょ?」

佐藤さんはどうしても、俺が小説の主人公の彼氏だと理緒に言わせたいらしい。

「……そう、です……」

理緒の声が一段低くなった。

さらに追及されるのかと、俺も理緒も身構えた。

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