元カノの恋愛小説が映画になったので、忘れたはずの初恋が大ヒット上映中です
俺は気まずさを紛らわせたくて、別の話題を探す。

「理緒と佐藤さんは、どんなご縁なんですか?」

理緒は佐藤さんの方を見て、言葉を選んでから答えた。

「……誠さんは、兄の同級生なんです」

「そう。で、理緒の大学の友人第一号」

理緒の答えに、佐藤さんが補足する。

「へぇ……じゃあ、大学で出会って?」

「いや。出会いは小学生の頃だな。残念ながら理緒は覚えてないんだよな。俺は中学生以降も、ずっと達也の写真で理緒のこと見てたんだけどなぁ」

「達也は私の兄です。私は大学で声を掛けられるまで、誠さんのことは知りませんでした」

達也。

理緒の兄の名前すら、俺は知らなかった。

中学生の頃、一度だけ理緒は兄がいることを口にしたことはある。

でも、それだけだ。

それなのに佐藤さんは、理緒の兄を知っている。

ただそれだけのことが、癇に障る。

「そうそう。それで、何か見たことある顔だなって思って、俺から声を掛けたんだよね」

「誠さん、昔から距離感がおかしいんです。普通は、だからって気安く声なんて掛けませんよ。今日は自重してくださいね」

「善処します」

佐藤さんは、言葉の割に態度は軽かった。

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