腕まくりイケメンバーテンダーの秘密

3.救われて


 あれから二週間が過ぎた。まるで酷いドッキリに会った後のようで、ショックが大きすぎる。
 そして残業続きの毎日に疲れ、今夜は早めにオフィスビルを出た。

「きゃっ!」

 その途中、見知らぬ男性とぶつかり、相手が持っていた荷物がバラバラと足元へ落ちる。

「ご、ごめんなさい。大丈夫ですか?」

 慌てて拾おうと屈み込む。相手の男性も荷物を拾い上げた。

「こちらこそ、すみませんでした。最近、ここの近くに転職したばかりで。不慣れで、よそ見をしてました」

 その男性は同年代くらいの、落ち着いた雰囲気の男性だった。

「森口ビルはこの近くですか?」
「えぇ。もう少し先の場所にあります。よかったらご案内しましょうか?」

「本当ですか? 助かります」

 数分歩いてビルの前まで案内すると、その男性は笑顔を浮かべた。

「ありがとうございます。明日ここで会議があって、場所が分かれば安心です。良かったらお礼に、軽く飲みませんか?」
「え、でも……」

「一杯だけですから」
「……はい」

 まさかこんな展開になるなんて。でも、出会いというのはこういう自然なものなのかもしれない。
< 10 / 21 >

この作品をシェア

pagetop