腕まくりイケメンバーテンダーの秘密
3.救われて
あれから二週間が過ぎた。まるで酷いドッキリに会った後のようで、ショックが大きすぎる。
そして残業続きの毎日に疲れ、今夜は早めにオフィスビルを出た。
「きゃっ!」
その途中、見知らぬ男性とぶつかり、相手が持っていた荷物がバラバラと足元へ落ちる。
「ご、ごめんなさい。大丈夫ですか?」
慌てて拾おうと屈み込む。相手の男性も荷物を拾い上げた。
「こちらこそ、すみませんでした。最近、ここの近くに転職したばかりで。不慣れで、よそ見をしてました」
その男性は同年代くらいの、落ち着いた雰囲気の男性だった。
「森口ビルはこの近くですか?」
「えぇ。もう少し先の場所にあります。よかったらご案内しましょうか?」
「本当ですか? 助かります」
数分歩いてビルの前まで案内すると、その男性は笑顔を浮かべた。
「ありがとうございます。明日ここで会議があって、場所が分かれば安心です。良かったらお礼に、軽く飲みませんか?」
「え、でも……」
「一杯だけですから」
「……はい」
まさかこんな展開になるなんて。でも、出会いというのはこういう自然なものなのかもしれない。