久我くんの過保護が止まらない!
ただ、少しだけ胸が痛かった。

「何の話しとるん?」

その時、低い声が教室に響いた。

教室の入口からだった。

全員が振り返る。

そこには、紙パックの牛乳を片手に持った湊が立っていた。

無表情のままの、いつもの顔。

だけど、陽菜には分かった。

今は機嫌がすこぶる悪い。

「兄ちゃん!」

渚が立ち上がる。

「見つけた!」

「見つけんでええ。

てか俺にもう関わんな」

即答だった。

そのまま陽菜の席へ歩いてくる。

そしていつものように、陽菜の後ろへ回り込んだ。

顎を陽菜の頭の上に乗せる。

「重いってば」

「今日の弁当。」

いつものやつだった。

いつも通りすぎる風景。

だからこそ、周囲のクラスメイトたちは少しだけ安心していた。

変な噂が広がっていても、湊自身は変わらない。

そして、陽菜も変わらない。

それだけで救われる気がした。

< 118 / 157 >

この作品をシェア

pagetop