久我くんの過保護が止まらない!
「陽菜ぁぁぁぁ!!」

案の定だった。

階段を駆け下りてきた父が半泣きで叫ぶ。

「ネクタイがない!!」

「ソファの横」

「なんで!?」

「昨日そこに置いてたじゃん」

「流石わが娘!!!」

恒一がソファの横へ走る。

無事見つけたらしい。

「すごい!」

「すごくない」

「陽菜は探偵になれる!」

「どういう理論?」

朝から騒がしい。

いつものことだ。

陽菜は味噌汁をよそいながら思う。

母が亡くなった時、この家はどうなるんだろうと思った。

父が仕事の間、自分は独りぼっちなのだと泣きそうになった日もあった。
けれど今は違う。

騒がしい父がいて。

無愛想な同い年の弟がいて。

毎日お弁当を作って。

毎日同じ朝を迎える。

それが当たり前になっていた。

「いただきます」

三人揃って手を合わせる。

窓の外には春の朝日。

いつもと同じ一日が始まろうとしている。

――少なくとも陽菜はそう思っていた。
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