喪失騎士エルディーテの冥界追想録 〜 孤独な騎士の過去を辿る、運命を覆す相互救済ロマンス~

月の騎士、エルディーテの失意

この日、リシア帝国の王城では王女サフィアの誕生日を祝う盛大なパーティーが開かれていた。

サフィアがシルフィードに嫁ぐ前の自国で迎える最後の誕生日ということもり、両陛下らが会場の準備に力を入れている事は誰もが知っている。
これまでになく豪奢な飾り付けと料理の品々、そして楽団から踊り子まで全てにおいて一級品が揃えられていた。

今宵のサフィアは特に美しく、その姿を見つけた時にエルディーテは息を呑んだ。

サフィアをエスコートするのは、シルフィードの王子ベニトア。
まだ正式に婚姻を結んでいないが、未来の妻の誕生日を祝うため招待されている。

ベニトアの瞳と同じ深い蒼のドレスに身を包むサフィアは、朗らかな笑みを浮かべ、二つ年上の兄である王太子アズライルから祝いの言葉を貰っている。

それをエルディーテは壁際に直立し見ていた。

そう、今、サフィアの身辺警護のため傍に控えているのはエルディーテではない。

< 4 / 34 >

この作品をシェア

pagetop