続・各駅停車のラブソング~只今絶賛、片思い中。~

第17駅:環状線の四重奏(茜の視点)

「ねえ結菜、今日の放課後さ、玲央も誘ってカラオケ行かない?」
そう言いながら、私は教室の向こうでスマホをいじっている和馬をチラチラと盗み見ていた。
和馬はいつもぶっきらぼうで、私を「幼馴染の玲央のオマケ」みたいに扱う。
それが悔しくて、寂しくて、気を引きたくて、わざと玲央の名前を出した。
私の好きな人は、和馬。
玲央とは生まれた時からの幼馴染だけど、和馬は高校で出会った、特別で大好きな人。
だけど、和馬の視線はいつも、私の親友の結菜に向いている。
結菜が困った顔をしていると、和馬はすぐに気づいてぶっきらぼうに助けるし、結菜が笑うと、和馬の耳が少し赤くなる。
私はいつも、二人の間で置いてけぼりを食らっている気分だった。
「……あ、悪い結菜。俺、放課後ちょっと用事あるからパス」
和馬が結菜にそう言った瞬間、私の胸がキュッと痛んだ。
用事ってなに? 結菜に誘われるのが恥ずかしかったの?……そんな風に邪推してしまう自分が嫌になる。
「なんだよ和馬、ノリ悪いなー」と笑う玲央。
玲央はいつも優しくて、私の味方でいてくれる。
玲央が私の髪をからかい半分で触ってくるたび、安心するのと同時に「これが和馬だったらな」なんて贅沢なことを考えてしまう。
玲央がどんな瞳で私を見ているかも知らずに。
「じゃあ、4人でどっか寄って帰ろ?」
私は必死に、和馬と少しでも一緒にいたくて提案する。
私たちの関係は、まるで行き先のない環状線だ。
和馬が結菜を見て、結菜が誰かを見て、私が和馬を見る。
ぐるぐると回り続けるこのレールから、私はいつになったら降りて、和馬の隣の席に座れるんだろう。
夕暮れのホーム。
4人で並んで電車を待つ間、私は届かない和馬の背中を、ただじっと見つめていた。
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