母国を追われた草いじり令嬢は、敵国で『宮廷植物医』として新生活を満喫しています~元婚約者様と義妹、お元気ですか? 貴重な植物が全て枯れ、さらに私が渡した大事な園芸書を燃やした?じゃあ、もう無理ですね~
第21話:宮廷植物医、毒問題を解決する
宮殿の離れには巨大な図書館――宮殿図書館があり、ベルナデッタたちは閲覧室の一部屋を丸々貸し切って渡り鳥の種類を調べていた。
小一時間も探すうちにラルフが目的の鳥を見つけた。
「みんな、見てくれ。おそらくこの鳥が最も可能性が高い。煤羅鳥――エーデル帝国ではよく見かけられる一般的な鳥だ。その名の通り煤色の羽根を持つ」
机上に広げられた図鑑には、見た目は地味な煤色の鳥が描かれている。
(煤羅鳥、全長はおよそ三十センチメートルか。アトラ王国には生息していなかったわね)
一度に遠くまで飛べる体力を持つという特徴も、ベルナデッタの推理を裏付けた。
この後やることは自ずと明確になり、彼女はみなに呼びかけた。
「まずはこの鳥の群れを調べてみましょう。足に何かついていたら黒です」
□□□
その日のうちに煤羅鳥の調査が進められ、ベルナデッタの推測通りの結果が明らかとなった。
研究棟の一室にて、テーブルには多数の小さな筒と反応を示した試薬が並ぶ。
ラルフがため息交じりに切り出す。
「やはり、ベルナデッタの話す通りだったな。煤羅鳥の足先には小型の筒が装着され、中に残存した粉は毒だった……つまり、我が国の植物の異変は人為的なものだ」
「ええ、当たってしまったという気分です。殿下、煤羅鳥の群れを追跡することは可能できますか? 毒の散布に使われたとなれば、人間が毒を補充しているはずです」
ベルナデッタの頼みにはマティアスが手を挙げた。
「その点については僕が追跡用のゴーレムを開発しよう。宰相になる前は魔導具師を務めていたからね、すぐにでも作れるよ」
「では、私は魔力の補給を手伝おう。最低でも一ヶ月ほど稼働できるくらいには補給できる」
マティアスが煤羅鳥を模したゴーレムを何匹も開発してくれ、ラルフが豊富な魔力を注ぐ。
各地で群れを見つけ次第、秘密裏に飛ばした。
毒の散布が人為的である以上、犯人に悟られないように調査を進める必要があるからだ。
二日後、毒散布の犯人が捕まったとラルフから連絡が入った。
ベルナデッタは彼の執務室で、マティアスとジュリエットとともに詳細な報告を聞く。
「追跡の結果、犯人の確保に至った。ヴィクターという帝国に住む男の薬師だ。おそらく単独犯と考えられるが、これから尋問にかけ毒散布の目的や背後で糸を引く人間がいないか調査を進める。帝国の植物事情は一気に改善していくことだろう」
室内の空気が緩和し、安堵のため息が呟かれた。
みなが安心する中、ラルフは穏やかな顔つきに変わる。
「これも全ては君の豊富な知識と経験、そして機転のおかげだ。帝国を救ってくれたベルナデッタに……改めて深く感謝したい」
「僕からもお礼を言わせてくれ。ありがとう、ベルナ嬢」
「ベルナ、あんたは最高の宮廷植物医だよ」
誰からともなく拍手が湧き立ち、その中心に彼女はいた。
「……私も嬉しいです」
ベルナデッタは笑顔で答える。
帝国の植物と人々を苦しめていた毒問題は、これにて一旦の解決を迎えるのだった。
小一時間も探すうちにラルフが目的の鳥を見つけた。
「みんな、見てくれ。おそらくこの鳥が最も可能性が高い。煤羅鳥――エーデル帝国ではよく見かけられる一般的な鳥だ。その名の通り煤色の羽根を持つ」
机上に広げられた図鑑には、見た目は地味な煤色の鳥が描かれている。
(煤羅鳥、全長はおよそ三十センチメートルか。アトラ王国には生息していなかったわね)
一度に遠くまで飛べる体力を持つという特徴も、ベルナデッタの推理を裏付けた。
この後やることは自ずと明確になり、彼女はみなに呼びかけた。
「まずはこの鳥の群れを調べてみましょう。足に何かついていたら黒です」
□□□
その日のうちに煤羅鳥の調査が進められ、ベルナデッタの推測通りの結果が明らかとなった。
研究棟の一室にて、テーブルには多数の小さな筒と反応を示した試薬が並ぶ。
ラルフがため息交じりに切り出す。
「やはり、ベルナデッタの話す通りだったな。煤羅鳥の足先には小型の筒が装着され、中に残存した粉は毒だった……つまり、我が国の植物の異変は人為的なものだ」
「ええ、当たってしまったという気分です。殿下、煤羅鳥の群れを追跡することは可能できますか? 毒の散布に使われたとなれば、人間が毒を補充しているはずです」
ベルナデッタの頼みにはマティアスが手を挙げた。
「その点については僕が追跡用のゴーレムを開発しよう。宰相になる前は魔導具師を務めていたからね、すぐにでも作れるよ」
「では、私は魔力の補給を手伝おう。最低でも一ヶ月ほど稼働できるくらいには補給できる」
マティアスが煤羅鳥を模したゴーレムを何匹も開発してくれ、ラルフが豊富な魔力を注ぐ。
各地で群れを見つけ次第、秘密裏に飛ばした。
毒の散布が人為的である以上、犯人に悟られないように調査を進める必要があるからだ。
二日後、毒散布の犯人が捕まったとラルフから連絡が入った。
ベルナデッタは彼の執務室で、マティアスとジュリエットとともに詳細な報告を聞く。
「追跡の結果、犯人の確保に至った。ヴィクターという帝国に住む男の薬師だ。おそらく単独犯と考えられるが、これから尋問にかけ毒散布の目的や背後で糸を引く人間がいないか調査を進める。帝国の植物事情は一気に改善していくことだろう」
室内の空気が緩和し、安堵のため息が呟かれた。
みなが安心する中、ラルフは穏やかな顔つきに変わる。
「これも全ては君の豊富な知識と経験、そして機転のおかげだ。帝国を救ってくれたベルナデッタに……改めて深く感謝したい」
「僕からもお礼を言わせてくれ。ありがとう、ベルナ嬢」
「ベルナ、あんたは最高の宮廷植物医だよ」
誰からともなく拍手が湧き立ち、その中心に彼女はいた。
「……私も嬉しいです」
ベルナデッタは笑顔で答える。
帝国の植物と人々を苦しめていた毒問題は、これにて一旦の解決を迎えるのだった。