母国を追われた草いじり令嬢は、敵国で『宮廷植物医』として新生活を満喫しています~元婚約者様と義妹、お元気ですか? 貴重な植物が全て枯れ、さらに私が渡した大事な園芸書を燃やした?じゃあ、もう無理ですね~

第30話:皇太子の日記④

 邪斑病に侵されていた父上が完治した。
 ベルナデッタが治療薬を開発してくれたのだ。
 俄には信じられなかった。
 彼女は父上の命までをも救ってくれた。
 私はどこまでも嬉しく安堵し、感動という言葉では言い表せないほど感動した。
 ありがとう……本当にありがとう、ベルナデッタ。
 その後、やはり疲れが溜まっていたのか彼女は魔力切れで倒れてしまった。
 どうかゆっくりと休んでほしい。

 植物博覧会という素晴らしい催事について父上に提案するベルナデッタ。
 その真剣な横顔を見て、私はようやく自覚した。
 
 ……自分はベルナデッタに恋をしているのだと。

 いつ頃からだろうか。
 きっかけはたくさんあったと思うが、明確な時期についてはわからなかった。

 ベルナデッタにこの気持ちを伝えたい。

 怖くないと言ったら嘘になるし、悔やまれる出来事があった。
 あろうことか、倒れた彼女を自室に運ぶ際に誤解を生む運び方をしてしまった。
 最初から転送魔法を使うべきだったのだ。
 とはいえ、後から考えても仕方がない。

 伝えたらどうなるのだろうか……伝えなければ、きっと今の関係性は維持できる。

 それでもいいかもしれないと思う一方で、私はきちんと伝えることを決心した。
 植物博覧会がうまくいき両国間の関係が改善した場合、彼女はアトラ王国に帰ってしまう可能性があるのだから。
 あのとき言えばよかったという後悔だけはしたくない。
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