母国を追われた草いじり令嬢は、敵国で『宮廷植物医』として新生活を満喫しています~元婚約者様と義妹、お元気ですか? 貴重な植物が全て枯れ、さらに私が渡した大事な園芸書を燃やした?じゃあ、もう無理ですね~
第39話:黒幕
同時刻、エーデル帝国ではないどこかにて。
「……あーあ、終わっちゃった。これから楽しくなるところだったのに」
豪奢な部屋に少女の可憐な声が響いた。
壁に飾られた絵や室内に置かれた調度品はいずれも極めて高価であり、高位貴族の部屋だと用意にわかる。
アトラ王国ともエーデル帝国とも異なる意匠が目を惹いた。
風にカーテンが揺れ陽光が差し込んだとき、少女の顔が明らかとなる。
紫色の髪と目は、まさしく紫水晶のように煌めいた。
――クララ・ノルドハイム。
コンラードに闇魔法を授け、帝国の検出をすり抜ける植物の毒の調合を教え、植物の投機による混乱を吹き込んだ。
彼女こそがエーデル帝国を混乱させた全ての黒幕――"あのお方"だ。
クララは鏡にコンラードの姿を映し、ひどく冷たい視線を向ける。
「帝国の政権を手に入れるのではなくて? あなたはやっぱり底が浅かったわね。一時の夢でいっぱいになってしまうくらい」
姿を隠してクーデターの協力を持ちかけたら、コンラードはあっさりと話に乗った。
帝国に混乱を起こし、その隙を狙えばいいと。
闇魔法の力を少し授けただけで彼は浮かれ、操ることは簡単だった。
(この世の中はつまらない)
クララは退屈が嫌いだ。
混沌が一番楽しい。
エーデル帝国で様々な混乱を発生させ、外から見て楽しみたかったのに邪魔されてしまった。
瞳を閉じたクララは、別の楽しみが奪われて憂鬱だ。
「せっかくカローラが騒ぎを起こしてくれたのに……」
月照蘭の一件はまったくの偶然だった。
悪化した両国関係にほんの少し刺激を加えれば、あっという間に混沌が起きたはず。
それもまた"ある女性"によって未然に防がれた。
思いを馳せるクララは悪寒を感じるほどに美しく笑う。
「あなたに会うのが楽しみだわ……ねぇ、ベルナデッタさん」
「……あーあ、終わっちゃった。これから楽しくなるところだったのに」
豪奢な部屋に少女の可憐な声が響いた。
壁に飾られた絵や室内に置かれた調度品はいずれも極めて高価であり、高位貴族の部屋だと用意にわかる。
アトラ王国ともエーデル帝国とも異なる意匠が目を惹いた。
風にカーテンが揺れ陽光が差し込んだとき、少女の顔が明らかとなる。
紫色の髪と目は、まさしく紫水晶のように煌めいた。
――クララ・ノルドハイム。
コンラードに闇魔法を授け、帝国の検出をすり抜ける植物の毒の調合を教え、植物の投機による混乱を吹き込んだ。
彼女こそがエーデル帝国を混乱させた全ての黒幕――"あのお方"だ。
クララは鏡にコンラードの姿を映し、ひどく冷たい視線を向ける。
「帝国の政権を手に入れるのではなくて? あなたはやっぱり底が浅かったわね。一時の夢でいっぱいになってしまうくらい」
姿を隠してクーデターの協力を持ちかけたら、コンラードはあっさりと話に乗った。
帝国に混乱を起こし、その隙を狙えばいいと。
闇魔法の力を少し授けただけで彼は浮かれ、操ることは簡単だった。
(この世の中はつまらない)
クララは退屈が嫌いだ。
混沌が一番楽しい。
エーデル帝国で様々な混乱を発生させ、外から見て楽しみたかったのに邪魔されてしまった。
瞳を閉じたクララは、別の楽しみが奪われて憂鬱だ。
「せっかくカローラが騒ぎを起こしてくれたのに……」
月照蘭の一件はまったくの偶然だった。
悪化した両国関係にほんの少し刺激を加えれば、あっという間に混沌が起きたはず。
それもまた"ある女性"によって未然に防がれた。
思いを馳せるクララは悪寒を感じるほどに美しく笑う。
「あなたに会うのが楽しみだわ……ねぇ、ベルナデッタさん」