母国を追われた草いじり令嬢は、敵国で『宮廷植物医』として新生活を満喫しています~元婚約者様と義妹、お元気ですか? 貴重な植物が全て枯れ、さらに私が渡した大事な園芸書を燃やした?じゃあ、もう無理ですね~

第8話:皇太子の日記①

 夜も静かな宮殿にて。
 ラルフは彼の執務室で日記を記していた。

 ◆◆◆

 夜渡商団を捕らえたとき、ベルナデッタ・フォーセット嬢という興味深い人物に出会った。 植物に魔力を込め成長させる、稀有な力を持つ女性だ。

 現在、帝国は植物の奇病に襲われている。
 解決策がない中、ベルナデッタに出会えたのは僥倖だ。
 彼女の所持品からも植物に対する造詣の深さが伝わり、少し話しただけで利発さもよく伝わった。
 ベルナデッタは我が国と敵対関係にあるアトラ王国の出身で、婚約破棄と国外追放された身と聞いたときは驚いた。
 同時に、縁や出会いの不思議さを実感したものだ。

 その実力は想定以上だったことを、後の私は知る。
 枯死寸前のリーベルの樹――家族との大切な思い出が宿る樹を、触れただけで回復させてしまったのだから。
 幼少期の思い出が脳裏を駆け巡り、胸が震えた感覚はずっと忘れないと断言できる。
 宮殿で暮らす者たちも喜んでいた。

 この国に来てくれてありがとうと、私はベルナデッタに言いたい。
 帝国を救うためにも、彼女とはこれからも良好な関係を築いていければいいと思う。


 ◆◆◆


 ラルフは羽根ペンをそっと置く。
 窓の外を見ると、月明かりでの中リーベルの樹が誇らしげに胸を張っていた。
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