独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。

第28話 今やれることを


 どうも。こちら矢吹都です。
 えー現在、大学の友人の修羅場を引き起こしてしまい友人は彼氏に強引に回収され、何故かその修羅場相手に私が駅まで送られるという非常に気まずい状況です。

 どのくらい気まずいかというと、自分は推薦入試で楽々合格したのに必死に受験勉強した友人が不合格と聞いた時くらい気まずいです。
 不謹慎な例えですね。
 すみません。

 都は気力も覇気もない翼の後ろをひっそりと歩く。
 友人の美咲が連れて行かれ、どうしたらいいか悩んでいると、傷心で心ここに在らずなのが見て取れる翼が「……送る」と呟き、歩き出した。

 仕方なく都はその背中を追ったのだった。

 気まずさと申し訳なさが都を襲う。
 翼を追いかけて美咲に電話したのは悪手だったようだ。
 ある意味、自分のせいで翼は致命傷を負ったと言ってもいい。
 どうにかフォローできないかと都は翼に話しかける。
 
「えっと……翼くんお久しぶりです……」
「……あぁ。」
「なんか、美咲と喧嘩したの……?」
「……まぁ。」
 
 こりゃだめだ。
 自分ではどうにもならないと悟る。
 フォローすることは諦め、いつも通りのノリで会話をし始めた。

「優斗くん、翼くんと同じバンドのベースの人だよね?私、美咲とは翼くんが付き合うと思ってたよ」
「……俺は、最初からそのつもりだった」
「そうなの?美咲もずっと翼くんのこと好きそうだったから早く伝えたら付き合えたんじゃない?」
「ずっと伝えてた。けど、今の俺とは付き合えないって」
「あーそりゃあれだけ独占欲強かったら好きでも付き合うの怖いか〜」

 都は客観的に思っていたことを口に出す。
 美咲の気持ちは誰でも思うことだ。
 先の見えない付き合いを誰がしたいと思うのか。

「でも翼くんが好きだから、信じてはっきりと伝えたんでしょ?信じてなかったら言うことすらできないよ」
 
 都の言葉に翼の足が止まる。
 気付かされたように翼は振り返り都を見つめた。
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