独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
 *

 優斗に連れられるまま彼の家に帰った。
 玄関の扉がガチャリと会話のない空間に金属音を響かせる。

「優斗……私たち1週間限定の恋人で……あと数日だけの……」
 確認するように恐る恐る優斗に聞く。
 自分が何か間違えていた?でも……と自問自答しながら彼に問う。
 
「……そうだよ。」
 玄関に立ったまま、顔を少し下に向け優斗は答えた。
 その言葉に安心した。
 自分の思っていたことが間違っていたわけじゃない。
「そうだよね!私、違うのかと思って焦って」
「そのつもりだった。」

 
 え……?


 会話が止まる。
 ()()()()()()()()ってどういう


 優斗は顔を上げて美咲の元に歩き出す。
 まるで猛獣(もうじゅう)獲物(えもの)を追い詰めるような威圧感に思わず後ずさる。

 優斗は美咲を逃さない。
 後ずさる彼女を抱きしめ、耳元で囁いた。

「大好きだよ美咲。高校で手当をしてもらったあの日からずっと。俺は美咲が好きだ。」

「翼を忘れなくていい。どんな美咲でも俺は好きだよ。」

 優斗の甘い言葉が耳に響く。
 心臓が壊れそうなほど早く鼓動する。
 もう恐怖からくるものなのか、愛に(ほだ)されて鳴るものなのかわからない。


 
「……翼、驚いてたね」
 
 ——翼に知られてしまった。

「美咲が俺の彼女になってるだなんて」
 
 ——私の身勝手な行動を……幻滅されただろうか。
 
「もう美咲のこと……諦めてるかも」
 
 ——傷ついたからって他の男に逃げる女なんて。




 もう、私に逃げ場はない。
 
 だったらいっそこのまま優斗に甘えてしまおうか。
 そしたら何も考えなくていいから。
 どうしたらいいかなんて、考えなくていい。

 ……疲れた。

 

 美咲の心を捕えるように優斗は唇を近づける。
「……っ待って」
 拒絶するような言葉とは裏腹に、体は優斗を拒みきれない。
 
 
「……俺はもう、美咲を離すつもりないよ。」



「俺に、堕ちて」

 深く熱い口付けは美咲の思考を完全に奪った。
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