独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。

第31話 嫌な予感/色づく世界


「は?トラッカー?」
「そう!なんかそんな通知がきて!」

 あの後、都は翼に美咲の様子を伝えるために連絡した。
 メッセージで送ろうとすると長くなりそうでめんどくさくなり電話しようとしたが、「暇なら大学来れば?」という翼の返信によその学校という興味に釣られ、大学を訪れていた。

 翼の大学の休憩室は広く、カフェテリアのようで丸テーブルがいくつも並ぶ。
 ちらほらと机は埋まってはいたが、空席もまだ全然目立っている。
 その中の一つに翼と都は向かい合わせで座っていた。

「はーん?バッグに入ってるんじゃねぇの?」
「確認したけど入ってないし私はそんなもの買ってないし、持ってもないの。しかも調べたらこの通知、昨日のスマホバージョンアップでついたらしいし」
「はー?……あぁトラッカー通知ってやつか」
「そう!」
「ふーん?」
「……最近さ、優斗くんがずっと美咲のそばにいるんだよね。」
「……そうか」

 翼は少し傷ついたように顔をそらす。
 でも都は「そうじゃなくて!」と翼に伝える。

「大学じゃなくて離れたカフェにいてもだよ?!すぐ近くにいて迎えにくるし!おかしいでしょ!」
 都の言いたい事を理解した翼は考えるように体を机に乗せる。

「おかしいな」
「でしょ!?だから思ったわけ。美咲、GPSつけられてるんじゃない?」
「……それはやばすぎるだろ」
「美咲、知らないみたいだし。完全にやりすぎでしょ?」

 互いに許し合ってるならまだしも、片方からのGPSによる管理は人権を無視した支配でしかない。
 親子でもなく、悪い事をしたわけでもないのに。

「なんか繁華街でのことがあった次の日くらいから美咲おかしいんだよ。それより前から色々悩んでるみたいだったけど……今は放心状態?何も考えないようにしてるみたいにぼーっとしてて」
「そんなことになってるのか……」

 翼は深刻な表情でスマホを見つめていた。
「俺も次の日、美咲に連絡はしてみたけど既読もつかない。電話も拒否されてるのか繋がらない」
「え……そこまで?美咲そんなこと言ってなかったけど……」

 状況の違和感に嫌な予感がした。
 2人は真剣な面持ちでそのまま黙る。

「……あれ、翼?」

 張り詰めた空気を割るように、後ろから声がした。
 都が振り向くとそこには由紀が立っている。
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