独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
 *

 翼と2人きりになり、静かになったテーブルで由紀は話し始める。

 ゆっくりと、丁寧に。
 自分が翼と美咲に思っていたことを、その感情から翼や美咲、優斗にした行いを全て隠すことなく話す。
 会話中、翼は一度だけ睨むように由紀を見つめたが、すぐに目を下に向け、何も言わなかった。
 
 そして由紀が話し終えると静かに口を開く。

「お前は俺の愛し方が羨ましくて、俺と美咲が付き合ったら自分は距離を置かれると思ったのか」
「…………そう」
「……だから優斗を唆す事を言ったり、俺がもっと落ち込むように将吾に話したりしたのか?」
「……そうだよ」

 翼の顔が激しく歪む。
 当たり前だ。
 間接的に翼と美咲が壊れるように誘導したんだ。
 殴りたくもなるだろう。
 
 力の入った拳に由紀は殴られると思い、目を瞑る。
 
「……?」

 でも、そんなことは起きなかった。
 翼は手を広げて自分の頭を掴んでいた。
 苦しそうな表情で言う。

「俺が、お前に敵対心なんか出さなければそう思うこともなかったよな」

「俺が……もっとまともに美咲の話を聞いて愛していれば」

「由紀も苦しまずに済んだのかもしれない。優斗が……何年も耐える必要だってなかった。」

 翼はポツポツと自分の行いを後悔するように声に出す。
 酷い事をしたのはこっちなのに、翼は自分のせいだとでも言うように苦しみ、由紀を責めない。

「違うでしょ」

 由紀は翼に聞く。
 
「間接的にでも私が2人を壊そうとしたのは事実で!それは私が自分の為だけにやった酷い事で!」
「……由紀は選択肢を出しただけだろ。それを選んだのは俺たちなんだ。……それだけだ」

 (どうして……)
 
 (けな)してくれた方が楽だった。
 前の翼なら怒って殴りにきてるだろう。
 
 けど彼はしない。
 
 翼が変わろうとしてる証拠だった。
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