独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。

 外した瞬間、タイミングよく翼からメッセージが届いた。
 すぐに開いて既読をつける。

 [美咲、大丈夫か?今日の夕方、由紀と優斗の家に行くから。もし見てたら返信してくれ]

 ……翼が来る。
 安心感から涙がこぼれ落ちそうになった。
 ここで泣いたらダメだ。
 溢れ出そうな涙を必死に戻す。

 [ごめん、勝手に翼と由紀がブロック状態になってて。今優斗は出かけてる。……私、翼と話すのが怖くて——]
 
 それ以上、指が進まない。
 なんて入れたらいいのか……わからない。

 悩んで消そうとすると誤作動か運命の悪戯か。
 勝手にメッセージが送られてしまった。
 消そうとするがもう既読が付いている。
 後には引けなかった。

 〜♫
 
 返信を待っていると着信音が鳴った。
 緊張でボタンを押すのが怖い。
 翼になんて言われるのか、想像するだけで逃げたくなった。
 
 コールは鳴り続ける。
 一度切れてもまたかかってくる。

 意を決して応答ボタンを押した。

「……もしもし」
「美咲!!よかった……大丈夫か?」
 翼の声。
 いつもの翼だった。
 嬉しい、会いたい、湧き上がる感情に必死に耐えた涙も溢れ出てしまう。

「つば……つばさ……私……本当は翼のことまだ好きなのに……考えるのが疲れて……嫌になって……優斗に甘えて……優斗と付き合って……っ」

 言い訳が止めどなく口から出ていく。
 知られたくない、けどもう知られてしまった。
 美咲にできるのはただ本音を話す、それだけ。

 翼は言葉を挟むことなく美咲を受け止めた。
 苦しくなかったと言ったら嘘になる。
 けど、そのきっかけを作ったのも全て自分だった。

「翼……つばさに、会いたいよ……」
「……っ!」
 
 美咲の切実な想いに感情で動きたくなった。
 今すぐに美咲のそばに行きたくなる。
 けどダメだ。
 それは解決にならない、今までと同じ繰り返しはもう、しない。

 翼は衝動を抑え込み、美咲に諭す。
「俺も美咲に会いたい。でも、無理矢理美咲を連れ出したら結局何も変わらない。ちゃんと優斗と話さないとダメだ」
「優斗と…………うん……そうだよね。優斗とちゃんと話し合うよ……」
「あぁ。夕方に由紀と行くから、一緒に帰ろう。……待ってて。」

 翼が大人に感じた。
 今までとは違う、決意を感じる姿に美咲は心の底から安心した。

「待ってる」

 翼との通話が切れる。


 
 美咲は荷物をまとめ始めた。
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