独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。

第35話 逃げた代償


 荷物をまとめ、忘れ物がないか確認する。
 大丈夫、……大丈夫なはず。

 そろそろ翼たちがくる頃だ。
 優斗からも帰ると連絡が来ていた。
 大丈夫……優斗とちゃんと話せば……。

 不安で何度も自分に言い聞かせてしまう。
 何を怖がっているの?
 ただ話し合うだけなのに。


「……最低だな、私」
 つらいと優斗に甘えておいて、今度は自分の都合で彼から離れようとしている。
 
 GPSだって私の勘違いかもしれない。
 中身は見ていないんだから、確証はない。
 証拠があるわけじゃないんだ。

 思いとは裏腹に、体はソワソワと落ち着かない。

 そろそろ来るだろうかとスマホを覗く。
 連絡はなし。
 その代わりスマホの設定から通知が来ていた。

 少し前にスマホのバージョンアップに気づいてしたから、それかな?と思ってなんの通知かよく見てみる。

 [あなたの近くでGPSトラッカーが検出されました。]



 え?




 玄関がガチャガチャと音を立てて開く。
 衝撃と恐怖で声が出なくなった。

「ただいま、美咲大丈夫だった?」

 玄関で靴を脱ぎ、キッチンを横切って美咲の姿を確認する優斗。
 怯えた顔で優斗のことを見つめる彼女に彼は思考を巡らせる。
「どうし——」
「優斗、私にGPS……つけてた?」

 美咲の言葉に優斗の体が少し震えた。
 どんどんと表情が冷めていき、呟く。


「なんでわかったの?」
< 114 / 122 >

この作品をシェア

pagetop