独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。

 あまりの冷たさに思わずヒュッと短く息を吸い込む。
「なんで……いつから……」
「もうわかってるんじゃないの?そこの荷物、帰るためにまとめたんでしょ?」

 優斗は美咲の隣に置かれた大きなカバンを指差す。
 落ち着いて話し合いをしようと思っていたのに部屋の空気は不穏に包まれる。
 美咲は怖かった。

 優斗は床に座ったままの美咲の前に体を下げて目線を合わせる。
 優しい彼の目は黒く澱んでいた。

 
「美咲、GPSでもつけないとどこかに行っちゃうだろ?急に翼を探しに行ったように。あの時は本気で焦ったけど位置情報がすぐにわかって助かったよ」
 
 
 狂おしく愛でるように優斗は美咲の頬に触れる。
 彼の表情は見たことない狂気を帯びていて、怖くて動けない。

 どうして……?
 
「私のスマホを触って翼と由紀をブロックしたのも優斗なの……?」
「あぁ、今気づいたんだ?」
 優斗は大したことじゃないと微笑む。

「由紀は美咲に何を言うかわからなかったし、翼は……言わなくてもわかるよね?」
「なんでそんなこと、したの」
「なんで?……ねぇ美咲、俺は4年間ずっと美咲が好きなんだ。それをずっと隠して生きてきたんだよ。やっと……やっと美咲を自分のものにできたのに。1週間なんかで終わらせるわけないだろ?」


 蛇のように、猛獣のように、優斗は美咲を喰っていく。
 優しさで手に入らないなら恐怖で支配してしまえばいいと、優斗は美咲を壁へと追い詰めていく。

 いつものように唇を重ねようとする優斗に美咲は初めて「いやっ……」と拒否をした。
 その瞬間、彼の表情が苦しそうに歪む。
 
「……っ……もう、ここまできたら……戻れないんだよ」


「あっ!!」
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