独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
 *

 玄関扉が話し合いの終わりを告げた。

 荷物を持った美咲が外へと出てくる。
 玄関の内側では優斗が複雑な表情で彼女を見つめていた。
 美咲は振り向き優斗に優しく微笑む。

「……月末のライブ、忘れないでね。」
「……うん。」

 優斗の返事に嬉しそうに彼女は笑った。

「待たせてごめんね、行こう」
「あぁ」
 翼は美咲の荷物を取って自分の肩にかける。
 優斗はそんな翼に一言声をかけた。

「翼」
「あ?」
「……悪かった。……黒髪、似合ってる。」

 翼は驚き、目を丸くする。
 優斗に謝られると思っていなかった。
 加えて褒められるとは。

 翼は澄ました顔で言い返す。

「お前のベースの音、へにょへにょになってたら許さねーぞ」

 優斗は笑う。

「なんだよ、へにょへにょって」

 手を振って別れを告げる。
 次を約束した別れを。
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