独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
 *

 買い物を終えてスタジオへと戻ると翼の姿が見当たらない。
「あれ、翼は?」
 美咲はドラムの前でスマホを触っていた由紀に聞く。
 由紀はスマホから顔を上げて軽く周りを見ると「多分トイレ、かな?」と自信なく言った。
「多分?」
「機嫌悪くなって、そのまま出てってから戻ってきてない」
 由紀の「私も知らない」という雰囲気に、美咲は眉を下げて「えー……」と困る。
「スタジオの時間もあと少しで終わっちゃうのに」
「そのうち帰ってくるよ」
 優斗は翼がいなくなったことを気にも留めていない様子で買ってきた飲み物をドリンクホルダーに置く。
 翼の荷物はここにある、ならそのうち戻ってくるはずだと美咲を安心させた。
「うん……」
 その言葉で少し気持ちが落ち着くが、美咲は翼が戻ってきていないのは自分のせいかもしれないと思っていた。
 
 (私と優斗が2人でコンビニ行ったから?)
 (でも、今までだってコンビニくらい行ってるし……)
 スマホに連絡しようにも翼のスマホはスタジオに置かれたまま。
「時間もったいないし、私ちょっと探してくる」
 落ち着ききれなかった美咲は結局、スタジオを出て翼を探しに行った。
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