独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
——ガチャン
スタジオの扉が大きめの音を立てて閉まる。
残された2人、由紀と優斗だけの空間はとても静かだった。
「……美咲となに話してきたの?」
優斗を横目で見つめる由紀が先に口を開く。
「なにも?」
「嘘」
「…………。」
由紀の確信を持ったような口調に優斗はなにも言わず、由紀を見た。
彼女の視線はもう優斗の方を向いておらず、その目はスマホ画面の動きだけを追っている。
優斗の見つめる視線を知らないと無視するように、由紀はスマホを触り続けた。
「機嫌、いいでしょ」
「どうして?」
由紀は目だけを再度優斗の手に向け、顎だけで「それ」を伝える。
「指。優斗、機嫌がいい時はいつも指でリズムとってるじゃん」
彼女の言葉に驚いて目を丸くし、自然とリズムをとっていた自分の指を見つめる。
優斗は自分の癖を知らなかった。
「……知らなかった」
「高校の時からだよ」
興味のないことのように由紀の視線はまたスマホに戻る。
面白くないと思った優斗はわざと由紀が嫌がりそうな言葉を投げつけた。
「……由紀は俺をよく見てるんだね」
彼は意味深に言う。
優斗の意図を理解した由紀は心底不快そうに顔を歪めた。
「翼の隣にいたから目に入っただけ」
それ以上、会話はなかった。