独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
 *

 駅で由紀と都と別れ、翼と一緒に家へと帰る。
 帰り道、2人の間にはなんとも言えない空気が漂っていた。

 何から切り出すべきか悩む美咲。

「……翼、髪色変えたんだね」
「あぁ……都さんがとりあえず髪の毛染めてみたらって」
「都()()?」
「なんだよ……どうしたらいいかアドバイスくれたのも美咲のこと教えてくれたのも全部あの人だから、なんか……呼び捨てはしずらいだろ」
「なにそれ」

 変に義理堅い翼が面白くて笑いが込み上げる。

「……笑うなよ」
「だっておかしくて!同い年でしかも翼がかしこまって都を呼ぶから」
 
 翼は恥ずかしくなったのか拗ねたように顔をそっぽ向いてしまった。

「ごめんごめん、もう笑わない!……きてくれてありがとう、翼」
「……遅くなってごめん」

 申し訳なさそうに謝る翼に美咲は「全然遅くないよ」と励ます。


「私のために変わろうとしてくれて、ありがとう」


 風が2人の間を通り抜ける。
 翼に借りた上着が肩から落ちそうになり、咄嗟に2人で掴む。

「……」
「……」

 目が合った。

 見つめ合い、何も言わずに美咲は上着から手を離す。
 離れた手を翼が掴んだ。

「……今まで美咲の話を聞かず自分の気持ちばかり押し付けて悪かった」

「これからは美咲の意見をちゃんと聞いて、お互いが納得した上でいろんな事をしていきたい」

「美咲を独占するんじゃなくて、美咲と2人で楽しんでいきたい」


「……美咲、俺と——」
「私と付き合って」

 下を見つめていた目を丸くして美咲へ向ける。
 振られてばかりだった翼が初めて、


 
「大好きだよ翼。」

 

 美咲の心を手に入れた瞬間だった。
 
 
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