独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
第5話 自分勝手
翼は美咲を離さない。
どこにも行かないでと縋るように、美咲の頭を後ろから押さえて熱い唇を重ねる。
間に漏れる甘い吐息が喫煙室に小さく響く。
「ふ……ぅっ」
彼の舌が美咲の舌に絡まり、激しさに息を荒くした。
(このままじゃだめだ、流されたら……)
「っ……!!いい加減にして!!!」
美咲は出せるだけの力を腕に込めて翼を自分から引き剥がした。
美咲の心が激しく揺れる。
翼に対して言葉にできないような深い悲しみと強い怒りが湧いてきた。
自分の気持ちばかり押し付けて、美咲の気持ちを聞く気がない様子にもういつものように許すことなんてできなかった。
「……っ……」
美咲の瞳に涙が流れる。
その涙を見て、翼はようやく自分のしてしまったことの大きさを知る。
美咲の気持ちを無視して自分の欲望を押し付けてしまった翼は罪悪感と自己嫌悪で潰れてしまそうだった。
「っ!みさきごめ——」
「なんでいつも押し付けるの。」
重く彼女から聞いたことが無いような低い声で、溜まっていた気持ちを翼に投げつける。
「噛むのもやめてって言ってもずっとやめないし、キ、キスだって——」
ポロポロと溢れる涙が地面を濡らす。
「初めて……だったのに……」