独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
 *

 数時間前——
 
 翼と優斗だけのスタジオは殺伐としていた。
 不穏な空気、ピリピリと体を震えさせるような怒りが空間を支配している。
 
 優斗は翼を睨んだまま「美咲に何したの?」と問いただす。
「…………。」
 だんまり。
 聞かなくてもわかる程、翼の身勝手さを優斗は理解している。
「どうせ、また自分勝手に気持ちを押し付けたんだろ」
 優斗は呆れるように鼻で笑った。
 翼は叫ぶように優斗に怒る。
「っ……お前に何がわかんだよ!」
 その表情は本当は自分でもわかっていると言うように、苦しそうに酷く歪んでいた。
 
 翼の叫びに萎縮することなく、優斗は冷静に言葉を返す。
「わからないよ。好きな人の気持ちを聞かずに自分の欲望を押し付けるやつの気持ちなんて」
「っ……」
 優斗の言葉に傷付くように、翼は目線を逸らし顔を隠した。
 翼が自分の行動で傷付き苦しむことなんて優斗にはどうでもいいことだった。

 もう、終わりにしよう。
 そう決めて秘めていた想いを口に出す。
 
「……ずっと我慢してやったんだ。もういいだろ?」
 
 自分の気持ちを吐き出すように優斗は翼にぶつける。
 大切なものを守るため、ずっと隠して見えないようにしてきた自分の想いを。
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