独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。

第7話 河合優斗

 
 美咲を初めて見たのは高校1年の時だった。
 卒業式、その友人は俺の机にきて言った。
『なぁ!優斗、フェスとかいかね?』

 特に高校の入学式まで予定のなかった俺は『まぁ、いいけど』と軽い気持ちで返事をした。
 誘われて行ったフェスは、感じたことのない開放的な熱気と非日常的な雰囲気で満ちていて。
 俺は生まれて初めて興奮した。
 その空気に感化された俺は、高校で軽音部に入ると決めたんだ。
 楽器は未経験だったが、何とかなるだろとその時は気楽に考えていた。
 
 タレ目の癖の強そうな先輩が新入部員に向かって話す。
『はーい、じゃあ軽音部でのバンドメンバーを決めるよー。決め方は毎年くじ引きだから、引いて引いてー』
 
 こうして部活内でバンドを組むことになり、くじ引きで決まったメンバーがあの2人。
「……中里由紀、ドラムやる」
「佐藤翼、ギター。少し前に始めた。」
「河合優斗、宜しく。ベースやる予定」
 3人の自己紹介は淡白に終わる。
 初めて見た時、翼は見るからに自我が強そうでめんどくさそうだと思った。
 数年経った今でも実際、めんどくさい奴だと思う。
 由紀はやけに綺麗な顔をした男だなと思っていたら下にスカートを履いていて女なのか……と驚いたな。
 気怠げなあの姿は今も全く変わっていない。
< 26 / 93 >

この作品をシェア

pagetop