独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
第8話 噛み跡の代わりに
「どういうことだよ」
翼は焦る。
優斗とは何年も一緒にいた、美咲と優斗が話している様子だって幾度となく見てきた。
だけどそんな素振りなんて一切なかったはずだ。
(我慢……?優斗は美咲に対してずっと我慢してきたのか?)
今まで美咲に近づこうとする男は1人だって許さなかった。
美咲のことを噛むのだってそれを他の人間に分からせるためだった。
「お前、俺が美咲のこと好きだって知ってるよな?」
「知ってるよ」
被せるように優斗は翼の言葉に答える。
「知ってるから待ってやったんだろ」
「っ……」
気に食わない、気に入らない。
なのに翼は何も言い返せなかった。
「美咲が決めてお前と付き合うなら仕方ないと思ってた。翼と俺では美咲と過ごした時間が違う、だからそれでも仕方ないって思ってたんだ」
優斗は目線を上げ、翼を睨む。
「でも、俺が思っていた以上にお前は自分勝手なやつだった。……4年も待ってやったんだ、もう遠慮してやる義理はない」
その言葉に、翼の精神は激しいざわつきに襲われた。