独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
 優斗は自分の荷物をまとめ、お金を翼の前に置く。
「これ、3人分のスタジオ代。俺はもう帰るから、月末のライブ忘れんなよ」
 優斗は翼を残し、扉に向かう。
 ドアハンドルに手が触れると翼に呼び止められた。
 
「……土曜日、本当に美咲とデートするのかよ」

 デートじゃないと言って欲しかった。
 あれは美咲が怒りに任せて言っただけの嘘で、本当は由紀もいるとかそんな予定はないと言って欲しかった。
「……美咲に聞いたの?」
「答えろよ」

 優斗は黙る。
 少しの間の後、言った。

 
「するよ。美咲に俺を好きになってもらいたいから」


 扉は閉まる。
 翼の絶望感を残したまま。
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