独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
「……っ」
 (な、なんで自分の部屋に入るだけで緊張してるの……!)
 今日喧嘩して今日家に来るなんて、流石に想像していなかった。
 もっと落ち着いてから話し合うものだと思っていた美咲はどう話したらいいのかわからない。
 はぁーと深く息を吐きゆっくりと扉を開ける、ドアの隙間から翼の顔が見えた。

 扉の動きに気づいた翼はいつものように「美咲!」と手を出しそうになるが、電気が走ったようにピタッと動きを止め、気まずそうに体制を戻す。
 自分の気持ちを抑えるような仕草に翼も少しは反省しているのかと美咲は感心した。
「……。」
 気まずい面持ちで美咲が部屋に入ると、お風呂上がりの石鹸の香りにシャンプーの甘い香り混ざり部屋を満たす。
 髪を乾かさずに上がってきた美咲は妙に色っぽく翼の目にうつる。
「っ………………髪、風邪ひくから乾かしてや……こいよ」

 その言葉に美咲は驚いた。
 (乾かしてやるって言いそうなのに)
 これも今日の怒りの効果か、と再度感心した。
 自分の気持ちばかりで私の気持ちなんて考えていないと思っていた翼が考えている。
 それが少し、嬉しかった。
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