独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
 *

 美咲の大学は翼と由紀、優斗たちの大学から意外にも近い所に建っている。
 ずっと行こうと目指していた音楽大学。
 正直、4人の中で1人だけ違う大学とわかった時は寂しかったけれど、この大学で学んでいるからこそ、今こうして【Suit(スート)】で作曲もできる。
 そう考えると、離れていても3人のためになれているんだと思えて嬉しかった。

 スマホがメッセージの通知音を彼女の鞄から鳴らす。
 [今美咲の大学に来てるんだけど、まだいる?]
 メッセージの送り主は優斗だった。

「え?!」
 突然の知らせに急いで返信する。
 [まだいるよ、今校門出ようとしてたところ。優斗どこ?]
 返信を送るとすぐ側で自分のではない通知音が鳴った。
 
「見つけた」

 耳元で優斗が囁く。
 いつもより近い距離感に驚いて体を離した。

「ゆ、優斗!いたなら声かけてよ!」
 前にも聞いたことのあるセリフに少し笑ってしまう優斗。
「はは、今かけたよ?」
「もー……」
 拗ねるように眉を下げる美咲。
 優斗はそんな姿もたまらなく愛おしいと思う。
 
「ごめん、土曜日のことでちょっと話があって。」
「?トークでも良かったのに」
「今日、この後時間空いてる?」
「空いてるよ。今日はもう帰るだけ——」
 
 優斗はするりと美咲の手を握り、敷地外に向かって歩き出す。
「直接、話したかったんだ。それと」
 彼は微笑みながら振り返り、美咲に言った。
「デートのための、デートをしよう」
「???」
 優斗に引っ張られるまま、歩く美咲。
「どういうこと?!」と、いつもと違いすぎる優斗に困惑しながらも美咲は彼について行くしかなかった。
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