独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
*
某所レンタルスタジオ。
4人で向き合い、楽器の音の調整をする。
美咲はキーボード
翼はギター兼ボーカル
優斗はベース
由紀はドラム
高校時代、美咲は吹奏楽部だった。
翼と優斗、由紀は軽音部。そこで3人のバンドを組んでいた。
大学になってからは美咲も加入して4人でライブ活動をしている。
バンドなんてできるのか不安だったけれど、意外となんとかなっている。
自分で言うのもあれだけどメンバーの音はなかなか相性がいいと思う。
私は4人で作るこの音がすごく好きだ。
「今日はなにするんだっけ?」
「あ?由紀なにも聞いてねぇのか?」
(この流れ……嫌な予感)
美咲に前回の記憶がよぎる。
前回の練習でも翼と由紀は衝突していた。
「トークで話したと思うけど……あ、ほら」
優斗は履歴を遡って由紀に見せる。
「あー……次のライブのセット決め、忘れてたなぁ」
めんどくさそうに話す由紀のドラムスティックがトントントンッとドラムで弾み跳ねる。
翼は由紀のやる気のなさに目を細め、ピリピリとした空気が部屋に広がった。
優斗は何も言わず、何か考えている様子。
(あー……始まったなぁー……)
何度も見てきた光景に自然と視線が遠くを見つめる。
なぜかいつもこうなってしまう、凄く翼と由紀の仲が悪いという訳でもない……はずなのに。
何か相入れないものがあるようだった。
バンドをこうして組んでいるのが不思議なくらい。
美咲は2人の意識をそらすように提案する。
「とりあえず慣らしで一曲弾かない?最近忙しくてキーボード触るの空いてたから弾きたくて」
大学の課題が忙しすぎてキーボードを触る時間があまり取れていなかった。
美咲の存在が部屋の空気を変える。
「……いいか?」
「いいよ」
「OK」
楽器を弾く姿勢を整えて目で合図を送り、鳴らす。
ピリついていた空気は和らぎ、絶妙なバランスで鳴り響く音と歌声に浸った。