独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
 
(……何度も来たことがある家なのに、静かすぎて知らない家みたい)
 
 美咲は変に緊張しながら家のリビングにお邪魔する。

 リビングに置かれたテーブルの前に座り、翼を待った。
 テレビもついていないリビング。
 部屋の奥からはドライヤーの断続的な機械音が小さく聞こえてくる。
 静かな空間に響き渡るドライヤーの音は何故か眠気を誘う。
 
 (……やばい、眠くなってきた……)

 時刻は22時、いつも22時過ぎにはベッドに入っている美咲はうとうとと頭を揺らした。

 
 *
 
 
 翼は頭を乾かし終えると手櫛で軽く整え、リビングの扉を開ける。

「美咲、送って……い」
 
 机にうずくまり、スースーと気持ちよさそうに眠る美咲。
 翼はゆっくりと近づき、話しかけた。
「……美咲、寝てる?」
「…………」
 返事はない。

「まじか……」
 困った顔で美咲の隣に座る。
 気持ちよさそうに眠る横顔をじっと見つめてしまう。

「本当、無防備すぎるだろ」
 
 そっと、彼女の頬に触れた。
 柔らかくて気持ちいい……可愛い。

「この前、俺にキスされたばかりなのに寝るなんて危ないだろ」
 気をつけろと思うのに、あんなことをしても気を許してくれている美咲が愛おしくて堪らない。
 
「……愛してる」
 
 寝ている美咲の手の甲に、翼は唇を落とした。
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