独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
「妄想って?」
 翼は美咲の言葉の意味が理解できず聞く。
「だから!私と翼が男女のそういうことをしたって勘違いを……」
 我に帰ってどんどん声が小さくなっていった。
「し……て……」

 翼の前で何を言っているのか。
 一気に全身に耐えられない恥ずかしさが広がる。
 居た堪れなくて「とりあえず帰る!」と言い捨てて飛び出そうとした。

 
「待って。」

 
 翼に抱きしめられ、止められる。
 
 背中からぎゅっと、彼女の肩に顔を埋める姿はどこか不安げで。
「土曜日、……本当に行くのか?」
「あ……うん。……今更無しなんて優斗が可哀想でしょ」
「……俺も行く」
「私も優斗に聞いたけど2人がいいって言うから……」
「…………優斗に美咲を取られたみたいで、嫌だ。」
「取られるって、私は別に優斗のこと……」
「美咲が信用できないんじゃない、他の人間が信用できないんだ」

 翼の言葉は的を得ていて言い返せない。

「何で美咲は俺と付き合ってくれないんだ」
 翼は不満気に苦しそうな声で呟く。
 美咲は困った顔で翼に聞いた。
 
「……翼は私の事好き?」
 
「大好きだ、愛してる、美咲のためなら何を捨ててもいい」
 
 わかっていた。
 翼のこの深い愛は特別で、盲目に、私だけを見つめてる。
 
 でも、その愛し方は間違ってるんだ。

 
「私と翼だけの世界に残るのは、愛じゃなくて依存だよ」

 2人だけの世界では生きていけない。
 いつか終わりの来ることに怯えながら翼と付き合うのは嫌だった。
 翼とずっと一緒にいたいから、お互いを苦しめ合うような恋人にはなりたくなかった。
 
「翼のこと好きだよ。でも、()()が翼と付き合えない理由」
 

 放心状態の翼を残し、美咲は家を出た。
 
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