独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
第15話 思惑
ライブハウスの前、優斗は準備と音合わせのために美咲と一旦解散する。
自分から言い出したことなのに美咲と離れるのが嫌で顔に出てしまいそうだった。
「優斗あとでね!」
「うん、あとで」
美咲に手を振って見送る。
なんで代役なんて引き受けてしまったのか。
断りづらいからって引き受けるんじゃなかったな、なんて今更酷いことを思う。
諦めてライブハウスへと続く階段を下った。
入り口前、通路の壁には無数のバンドのステッカーが貼られていてライブハウス独特の空気が感じられる。
扉を開けて中に入ると今日の出演者たちがリハーサル前に集まって交流していた。
「お、きたか。優斗!今日はありがとな」
「いえ。荒木先輩みたいに上手くは難しいかもしれないですけど頑張ります」
「お前も十分上手いだろ?頼むわ!」
今日組む他のメンバーにも挨拶を済ませ、ベースをケースから出してチェックを始める。
手元に集中していると上から声が降ってきた。
「やっぱ優斗じゃん」
声に反応して顔を上げると高校で同じ軽音部だった将吾がいた。
「将吾?今日出るの?」
「おう、先輩たちの前に出る。お前は?」
「荒木先輩の代理」
「あー……ハッ、先輩酔ってそのまま転けて指折れたんだろ?」
「らしいね」
鼻で笑いながら人の失敗を話す奴に優斗は淡々と言葉を返す。
将吾のことは好きじゃなかった。
どちらかというと苦手だ。
出会ってから今まで、俺が見る限りずっと女癖の悪いコイツは高校時代の美咲にも体を見定めるようにジロジロとねっとりした視線を向けていた。