独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。

「翼……翼!!」
 美咲は一生懸命翼を呼び止める。
 どれだけ呼んでも翼は止まってくれなかった。
 もう聞く気がないのか声が届いていないのかわからない。
 
「……2人だけの場所で話したい」
 
 翼はそう言ったきり、何も言わなかった。
 
 デートで優斗とお揃いのネックレス。
 知らなかったと言っても翼を勘違いさせるような証拠は揃っている。
 美咲は口を閉じた。

 翼に連れられるまま歩いていくと、マンションのような建物に翼は美咲を連れて入る。
 看板には【Hotel】と書かれていた。
 あまりの驚きに思考が止まる。
 
 ここって——

「つ、翼……冗談だよね?」
 
 翼は答えない。
 慣れた手つきではない、それでも迷いなくタッチパネルを操作して鍵を受け取った。
 美咲の手首を掴んだまま狼狽える美咲を引っ張ってエレベーターに乗せる。
「ま、待って。帰ろう翼……こんなの」

 
 
「黙って。」

 酷く、冷静に怒っている様な低い声。
 美咲は初めて翼が怖く感じて何も言えなくなった。

 彼女の逃げ場をなくすようにエレベーターが開く。
 翼は美咲を連れて歩き、部屋を見つけた。
 
 部屋の鍵を開けるとそのまま連れ込むように美咲を引っ張り、2人は部屋の暗闇に飲み込まれていった。
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