独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
第19話 好きなのに。
「美咲!!!」
雨の中、建物の隅にうずくまっていると由紀と優斗が走ってくるのが見えた。
2人はビニール傘をさしながらこちらに向かって走ってきてくれている。
「美咲、よかった。ライブ中に見えなくなってから翼も連絡つかないし、美咲もどこにいるのかわからなかったから……」
優斗は本気で心配して探してくれていたのか、ズボンの裾は濡れて髪も激しく乱れていた。
「由紀に連絡きてないかと思ったけど何もなくて、そしたら由紀も一緒に探すって言ったから」
由紀は美咲に近づき、肩に触れようと手を伸ばす。
「美咲、変なことに巻き込まれてなくて本当によか——」
由紀は美咲の姿に違和感を覚える。
落ち着かない様子、いつもは後ろに流している髪も今は首を覆うように全部前に下ろしていた。
普段肩にかけている鞄をおろして前に持ち、何かを隠しているような。
由紀は確認する為に美咲の髪に触れる。
でも美咲が後ろに下がり、触れられなかった。
美咲が後ずさった拍子に鞄がずれ、ショートパンツが見えて太ももがのぞく。
その時、優斗は見えてしまった。
デート中には無かった白い首筋に残る独占欲の印を。
美咲の脚についた翼の跡を。
優斗は憶測でしかない想像に思考が持っていかれる。
勝手に決めつけてはいけない。
美咲からしっかり話を聞くべきだと思った。
自分の着ていたカーディガンを脱ぎ、美咲に掛ける優斗。
「美咲、嫌じゃなければ俺の家に来る?」
優斗からの突然の誘い。
それは美咲のことを考えての誘いだった。