独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
 *

 美咲が泣いている。
 俺のせいだ。
 
 俺がネックレスを見せつけたりなんてしなければ、美咲は傷つくことなんてなかったのに。
 自分の欲を優先して、心の中の黒い感情に従った。
 
 俺は何しているんだ。

 自分の部屋で声を上げながら泣いている美咲に罪悪感が消えない。
 やってしまった行動が今こうして、彼女を酷く傷つけている。
 最低な奴だと思った。
 最低だと思うのに、心のどこかで今がチャンスだと黒い感情が俺を(そそのか)す。

 
 ——想定通り。
 
 こうなれと思っていただろ?
 そのために見せつけたんだろ?
 翼が()()()()()とわかってて、()()()ネックレスにキスしたのだから。
 
 自分が2人いるみたいだった。

 まっすぐ美咲のためにあろうとする自分。
 自分のためなら美咲が傷つくことも(いと)わない自分。

 どっちがは本当の意思なのかわからない。
 俺は、どうしたいんだ。

 数分泣き続けていた美咲は少し落ち着いたのか、声を落として鼻で短く息を繰り返している。

「美咲、ミルクティー。ちょっと冷めたかもしれないけど、よかったら飲んで」
「……あり、がとう」
 彼女は俺からマグカップを受け取ってゆっくりと口に運んだ。
 その姿は憔悴しきっていて痛ましい。

 由紀の前にコーヒーの入ったマグカップを置いてテーブルを挟んだ向かいに座る。
 美咲の背中を由紀はさすり続けていた。

「大丈夫……美咲は間違ってないよ」
「うっ……う……」

 
「……ごめん。」

 
 謝罪の言葉が優斗の口からこぼれ落ちる。
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