独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。
間話 帰り道
優斗の家の玄関を出て、美咲に手を振り別れる。
そのまま振り返ることなく駅へと進む道。
由紀の心の中は滅茶苦茶だった。
美咲が苦しそうに泣く姿に可哀想だと思った。
でも、美咲と翼が離れたことに喜ぶ自分もいた。
自分が願っていた現状。
嬉しいのに、どこか胸に棘が刺さったように痛む。
(これでよかったのか)
いい。
いいんだ。
由紀はそう自分に思い込ませた。
美咲が苦しそうでも、それは翼が引き起こした問題。
自分が直接関与したわけではない。
私は、少し刺激を与えてるだけ。
なのに、美咲の涙を見て罪悪感に駆られた。
もう戻れない。
退路を絶たれた気分だった。
でもこれで優斗と美咲がくっつけば。
壊れた翼はどこに向いていくのか。
傷つき壊れた美咲の愛が塗り替えられるように優斗へと向かっていったら。
——仲間が増える。
そんな感覚に安心してしまう私は、もう壊れている。
「翼は、今何してるのかな」
最愛を失い、壊れた翼を想像して笑みが溢れてしまう。
こんな醜い感情は持っていなかったはずなのに。
人が傷つく姿を想像して笑みを浮かべる自分は心底気持ちが悪い。
由紀は都合のいい男が待つ家に帰るため、駅へと向かった。