独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。

「キスマーク、まだくっきり残ってるし1週間くらい泊まっていけば?」

 予想していなかった言葉に美咲は食事の手が止まる。

「え……でも、それは……」
「1日も1週間も変わらないよ」
 大したことじゃないみたいに、優斗は食事を続けながら話す。
 確かに身体の印はまだ生々しい。学校では服でどうにか誤魔化せても、家で誤魔化すのには無理があった。
 それでも男友達の家に1週間も泊まるなんて。
 
「さすがに男友達の家に1週間も泊まるのは……」
「じゃあ、1週間だけ俺の彼女になって」
「え?!」
「そうすれば、誰も変に思わないよ」
「そうかもしれないけど……」

 その提案はあまりにすっ飛びすぎなんじゃ……。
 
「キスマークが消えるまで。消えたらちゃんと帰すから」

 優斗の言葉は美咲の判断力を鈍らせた。
 1週間だけの限定恋人。
 泊まるためだけの理由付け。
 キスマークが消えるまで、優斗の家にいれば誰にも何も言われない。

 ……何も考えなくていい。
 その安心感に縋りたくなった。

「……じゃあ……優斗の……言葉に甘えて……」
「うん、そしたら今日は美咲の服とか泊まりのもの取りに行こうか。車出すよ」
「……ありがとう」

 流されるように、美咲は優斗の1週間限定彼女になった。
 
 優斗の優しさは美咲の心をゆっくりと蝕んでいるとも知らずに。
< 82 / 122 >

この作品をシェア

pagetop