独占欲の強い幼馴染はいつも私を噛みたがる。

間話 好き『だった』


 美咲をホテルに連れ込み、彼女の出した許可を都合よく解釈して傷つけたあの日。

 
 ——俺はもう 戻れないと思った。

 
 *

 
「もう、無理だよ……」

「話も聞いてくれないのに、どうやって一緒になれるの?!」

 美咲は瞳を涙に濡らしながら叫んでいた。

 部屋の中に歩行音が響き、扉が閉まる。


 俺はまた、自分の欲に負けて彼女を傷つけた。
 美咲の話を聞かず、自分の憶測で結果を想像して暴走した。

 ——最低だ

 わかってる。

 ——酷い人間だ

「わかってる!!」
 

 頭の中に響く自身からの罵りに声を荒げる。

 
 もう、どうしたらいいのかわからない。
 美咲は涙を流して出ていってしまった。
 俺に彼女と関わる資格はまだあるのか?

 
「——私は……翼が好きだったから。」

 頭に残りつづける美咲の言葉。

 
 美咲は俺のことが好きだった。
 嬉しかった。

 それと同時になんてことをしてしまったんだと、絶望が俺に押し寄せた。
 あんなことをして、もうさすがの美咲も許してはくれないだろう。

「……うっ……く」

 時間は戻せない。
 自分のしたことは自分で受け止めなければならない。


 
 もう、戻れない。

 口にすることのできない喪失感と絶望に涙を流すことしかできず。



 何もかも、全てがどうでも良くなった。
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